「小動物臨床 Vol.19 No3(2000.5)27」より引用しました。


犬と猫の難治性疾患に対するアガリクス Hexoses of Carbohydrate Complex (アガリクスHCC)の臨床効果

多川政弘1), 山村穂積2), 井上 寛3), 佐藤清二4), 湯本哲夫5), 高野雅人6), 東郷正治7) 大野秀樹8), 村井 妙9)藤田桂一10),安田英巳11),中島邦泰12), 小林孝之13),長谷川正昭14), 大塚克彦15)

要約
 犬の皮膚疾患、腫瘍および肝障害の症例 63例と猫の腎不全およびウイルス感染症症例21例に対してアガリクス茸の菌糸体抽出物であるアガリクスHCC(Agaricus Hexoses of Carbohydrate Complex)およびアガリクス茸の子実体を投与した。結果は、犬の皮膚疾患に対して42例中36例(85.7%)、腫瘍に対して16例中15例(93.8%)、肝障害に対して10例中9例(90%)、猫の腎不全症例に対して5例全例(100%)、ウイルス疾患に対して11例中10例 (90.9%)と高い有効性が認められ、臨床症状および血液検査所見の異常値の改善効果を認めた。一方、犬、猫の症例84例のうち犬5例(5.9%)に一過性の嘔吐、下痢などの消化器症状が軽度に認められたが、いずれもなんら加療せずに回復した。以上のことからアガリクスHCCおよびアガリクス茸の子実体は、安全性の面で優れており、犬、猫の種々の疾患に対して有効性が高いことが示唆され、とくに皮膚疾患、腫瘍性疾患、ウイルス感染症など難治性疾患に対する補助療法としての有用性が期待される。

表-2 犬の腫瘍性病変に対する効果
犬番
種類
年齢
性別
体重
疾患名と転帰
効果
満足度
副作用
D-19
マルチーズ
10歳
2.5kg
乳腺腫瘍(手術せず)
腫瘍部分に炎症症状を認める
腫瘍の進行は認められず、炎症症状は消失
やや有効
50
無し
D-20
雑種犬
11歳
16.9kg
乳腺腫瘍の切除後の再発
乳頭状腺癌
腫瘍の増殖が進行
効果無し
無し
D-22
ヨークシャテリア
12歳
1.7kg
舌扁平上皮癌切除後
QOLの改善、再発無し
やや有効
50
無し
D-23
マルチーズ
8歳
2.7kg
乳腺腫瘍
腫瘍の増殖を抑制
やや有効
50
無し
D-24
14歳
18.3kg
肛門周囲腺腫(一部が自潰)
掻痒感あり
血尿が改善、痒み改善
やや有効
50
無し
D-26
ビーグル犬
10歳
12kg
膀胱癌(移行上皮癌)
全身状態、排尿状態良好
有効
100
無し
D-39
雑種犬
10歳
11kg
肛門周囲腺種、睾丸腫瘍
(潜在精巣)再発なし、リンパ球数増加
有効
100
無し
D-41
ゴールデンリトリヴァー
5歳
30kg
メラノーマ(後肢末端部)
抗ガン剤副作用の軽減
やや有効
30
無し
D-47
マルチーズ
11歳
3kg
乳腺腫瘍(手術せず)、
2ヶ月目に腫瘍の縮小を認める
有効
80
無し
D-50
秋田犬
10歳
34.5kg
乳腺癌摘出後、皮膚炎
腫瘍の再発なし、AST、ALT値低下
有効
50
無し
D-51
シーズー
10歳
8.1kg
肛門周囲腺腫切除後の再発
腫瘍の増殖を阻止、皮膚炎改善、AST、ALT値低下
有効
50
無し
D-52
雑種犬
8歳
8.2kg
悪性神経鞘腫の切除後
再発を認めず
やや有効
50
無し
D-53
ゴールデンリトリヴァー
3歳
39.8kg
リンパ腫(ステージlllb)
下痢のため投与中止
中止
下痢
D-54
雑種犬
14歳
12.1kg
脂肪肉腫の摘出後肺転移
転移腫瘍の増殖を抑制
有効
70
無し
D-56
シーズー
10歳
7.7kg
リンパ腫、抗ガン剤併用のため
判定不可
不明
無し
D-57
ポメラニアン
12歳
3.1kg
乳腺癌切除後の再発
投与開始3か月で腫瘍塊の縮小を認める
(0.5×0.5→0.1×0.1cm)
有効
80
無し
D-59
ポメラニアン
11歳
2.9kg
乳腺腫瘍切除後の再発、自潰
乳腺潰瘍部の炎症症状改善、腫瘍の増殖なし
有効
80
無し
D-76
ポメラニアン
11歳
3.2kg
皮膚の肥満細胞種の切除後
食欲及びQOLの改善
有効
100
無し

表-3 犬69例の各種疾患に対するアガリクスの効果
判 定
疾 患 別
皮膚疾患
腫 瘍
肝障害 * *
著 効
1
(2.4)*
有 効
20
(47.6)

(56.3)

(40.0)
やや有効
15
(35.7)

(37.5)

(40.0)
無 効

(14.3)

(6.3)

(20.0)
合 計
42
(100)
16
(100)

(100)
* ( )内は百分率(%)を示す
** 他の疾患を合併する5症例を除く評価

表-4 アガリクス投与に伴うALTの推移
症例
性別
年齢
(歳)
体重
(kg)
ALT(U)値
投与前
1ヶ月
2ヶ月
3か月
シーズー
8.7
82
51
8.1
43
31
シーズー
11
5.1
21
17
秋田犬
10
34.5
56
27
12
12
シーズー
10
8.1
84
10
10
10
ミニチュア シュナウザー
13
4.5
547
423
110
シェルティー
11
11.7
916
120
シェルティー
10
12.3
199
48
17
8.9
312
324
320
193
−: 検査せず
 
表-5 猫27例の各種疾患に対するアガリクスの効果
判 定
疾 患 別
ウイルス疾患
腎不全
その他の疾患
著 効
有 効

(54.5)*

(80.0)

(60.0)
やや有効

(36.4)

(20.0)

(20.0)
無 効

(9.1)

(20.0)
合 計
11
(100)

(100)

(100)
* ( )内は百分率(%)を示す

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