動物病院は動物の治療や手術を受けるところだと御考えの飼い主が多いと思いますが、自分の状態を説明することが出来ない動物にとっては獣医師と飼い主との関係がとても大切で、動物の治療は獣医師と飼い主が協力してやって行かなければならないのです。
 皆さんの飼っている動物達の健康管理はもちろん、病院との日頃の関係創りの為にも以下の何点かを毎年同じ時期に継続して行うことをお勧め致します。

◆ワクチン(予防注射)について
 ワクチン接種する時は、体重測定や検便を行います。毎年一度簡単な身体検査をする事により、血液検査やレントゲン検査等の特殊な検査をしなくても分かる病気は多いので、そう言った身体検査の意義はとても大きいと思います。
  また、初めて動物を飼う時は、食餌やしつけに付いて知らない事があるのは当たり前で、分からない事は是非御相談下さい。
  私たちでも、飼い主に教えて頂く事も沢山有りますよ。 御相談がきっと動物にとっての幸せに繋がる事になるでしょう。
 そして、もし、このホームページを「動物をこれから飼おうと思っているがまだ考え中だ。」あるいは、「どの品種にするか迷っている。」と言う方がご覧になっていたら、是非知りたい事を質問して下さい。自分の事情に合った動物を飼うと言う事は、好みと 同じ位大切な事なのです。
  また、品種によって様々な特異的な病気もあります。また、御飼いになったら、真っ先に動物病院に行って、その子が健康であるか、食餌はどうしたら良いのか、必ず聞いてください。
 世界の有名な動物専門製薬会社は、数多くの処方 食を出しております。それは、食べ物こそが命の源であり、また、個々の体質により、どれが合うか異なるからです。
 色々な事をお電話で御質問ください。 もちろん、メールや、直接の御来院でも結構ですよ。
 
  ●ワクチン(犬・猫・フェレット)の種類
 
     犬のワクチンは、狂犬病と混合ワクチンの2つに分類されます。
 狂犬病の予防接種は、毎年春頃にお住まいの地域の市町村の広報等で案内されますが、法律で登録は一生に1回、お注射は1年に1回接種するという決まりになっております。
 また、病気治療中や著しい老齢動物では動物病院に御来院頂ければ無料で狂犬病予防注射猶予証明書を発行する事が出来ます。
     混合ワクチンは、現在、3種、5種、7種、8種などの様々なタイプのものがあり、これらのワクチンで予防できる病気は、
 1)パルボウイルス感染症
 2)パラインフルエンザウイルス感染症
 3)ジステンパーウイルス感染症
 4)アデノウイルス感染症(I型・II型)
 5)レプ トスピラ感染症(カニコーラ型・イクテオヘモラジー型)
 6)コロナウイルス感染症
があります。
 お住まいの地域、飼育方法、飼い主の事情等によって選択出来ますので、予め御相談ください。
 また、ワクチンによる過敏症を持つ子の場合、こちらから指定する場合があります。ですから、ワクチンの良し悪しは、何種かで決める事は出来ません。信頼できる製薬会社の、そして、世界中の獣医師が使用し、安全性が確認されているものこそが最も良いワクチンなのです。
 
     3種混合ワクチン(1.汎白血球減少症、2.カリシウイルス感染症、3.猫伝染性鼻気管炎)と、猫白血病ウイルスのワクチンが有ります。 白血病のワクチンは事前にウイルス検査をして接種する必要が有ります。 3種ワクチンとウイルス検査、白血病ワクチンの組み合わせによって、また、多頭飼育によって割り引き制度が有りますので、御相談下さい。
  フェレット・アライグマ・スカンク
     獣医学的な根拠によって、また、国によって、接種するワクチンの種類が異なりますので、御相談下さい。
  ※海外に連れて行く場合、狂犬病のワクチンと特別な書類が必要になります。

◆フィラリア予防について
(犬・猫・フェレット・アライグマ・スカンクに寄生します)
 まれに人にも寄生するとされています。
 フィラリア症とは、犬糸状虫の心臓・血管への寄生により起こる心臓、肝臓、腎臓、全血管系に及ぼす重大な傷害であります。
 犬糸状虫の成虫が心臓・血管に寄生し、血液循環を障害することによって症状が緩やかに、出てきます。何年にも渡り、確実に体を蝕んでいくのです。犬糸状虫の寄生は、「蚊」が媒介するので、蚊の出始める1ヶ月前から、蚊が見られなくなって、更に1ヶ月後まで毎年予防薬を飲んでいただく必要があるのです。
 ですから、高層マンションや完全に室内飼育の動物でも、もし飼い主であるあなたが多年に渡って、たった一度も蚊に刺されない環境にある場合を除いて、「蚊」がいればフィラリア症にかかるには充分な理由になりますので、予防される事をお勧めしています。
 また、毎年予防薬を飲み始める前に、前年の予防が成功したかどうかを調べるために簡単な血液検査を行います。前の年の予防薬が残っている場合も、その検査を受ける事をお勧めしています。なぜなら、予防薬によって100%予防できると言う様な感覚を お持ちでしょうけれども、万が一予防が成功していなかった場合、寄生していた犬糸状虫が死亡することによって血管につまってしまう等でおこる急性の症状が出る事が有るからです。
 予防薬には色々な種類が有って、目的や金額も変わって来ます。例えば犬糸状虫予防と消化管内寄生虫予防がセットになったものや、犬糸状虫予防と消化管内寄生虫予防とノミ予防がセットになったもの等が有りますので、御相談下さい。
 ワンシーズン集めてお出しする場合、あるいは多頭飼育の場合、割引制度が有りますから、事情に合わせてお気軽に御相談下さい。

◆ノミ・マダニ・耳ダニ予防について
 ノミという外部寄生虫は、猫・犬をはじめ、稀に人にも迷惑をかける厄介な寄生虫です。もしも大切な動物に1匹でも成虫を発見すれば、卵・幼虫・さなぎを合わせるとかなりの数のノミがいると考えてよいでしょう。(成虫は全ての形態のノミのうち5%と言われています)
 個体によっては、ノミに刺されることによってアレルギー症状を起こ し、皮膚病としての治療をしなくてはいけなくなる場合もあり、ノミにより媒介されるものには、ヘモバルトネラフェリス、瓜実条虫等の内部寄生虫も有るのです。
 ですから、ノミの寄生を予防するために様々な薬が出来ています。飲む薬、皮膚に滴下する(スポットタイプ)薬、ノミ取りシャンプー、ノミ取り粉、ノミ取り首輪等々。皆さんの飼育されている動物の性質やノミの感染の機会・危険性、飼い主の御事情に あわせて御用意出来ますので、御相談ください。 同時に、ダニ・耳ダニにも駆除出来るタイプの予防薬も有ります。草むらや公園などを 散歩する犬や、外に遊びに行く猫などは、この様なタイプの物を選んだ方がよろしいでしょう。
 以上定期的に行った方が良いと思われる病気を3つあげましたが、ほかにも、数え上げればきりが有りません。
 健康管理の基本は「食欲・元気・排便・排尿の観察」です。病気を作らない生活をさせてあげる事と、もしも病気になっても早期発見をしてあげる事が一番大切なのです。食餌・処方特別食・シャンプー・生活習慣・年齢別の病気の兆候など、飼い主とのちょっとした会話の中からアドバイスを差し上げられると思いますので、恥ずかしがらずにどんどん相談してください。
 動物病院は、飼い主にとって、行きやすい所、すなわちコミュニティーの場で有って欲しいものです。

◆食餌・薬用シャンプー・栄養補助食品による病気の予防について
 処方特別食・健康補助食品等、最近は沢山の種類のものが有ります。それらを上手に使い分けるために獣医師のアドバイスを参考にする事は最も安全で良い事ですが、飼い主の事情に合わせて選ばなければ続きません。
 動物医療とは、獣医師が選んで飼い主に 薦めるのではなく、獣医師が薦めた沢山の選択枝の中から飼い主が選んでいくものだと 思います。
 ですから、まずは、動物病院を身近なものにする事が大切だと私達は考えています。継続的栄養管理・予防管理こそ本当に価値ある健康管理なのです。
 あなたの動物に合っ た、予防をアドバイスを致します。

 次に定期的に行うものではないのですが、「予防と健康管理」として、『ウイルス検査』と『動物の長寿化による老人病の予防』について御説明します。
◆ウイルス検査(特に猫)
 動物病院で受けることができる数種のウイルス検査のうち、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスの検査について説明します。
 この2種類のウイルス病は院内で簡単に検査することが出来、目の前で結果を確認することができます。症状をなにも示していなくとも、この2種類のウイルス病に感染しているかどうかを把握することは大切なことです。
 特に、猫白血病は、もし感染していないことがわかれば、ワクチンで予防してあげることが可能な病気なので、新しく猫を飼う方、2匹目の猫を飼う方は特に調べておいた方がいいでしょう。
 また、猫免疫不全ウイルスは、このウイルスが感染していることによって、様々な病気を発症しやすくなりますので、飼い主のみなさんの心構えを変えていただき、早期発見・早期治療へ導く手助けとなると思います。

◆動物の長寿化による老人病の予防
 獣医学の発達、飼い主の意識の向上、食餌を含めた環境の改善により、動物の寿命が年々延長されています。それに伴い、今までは気付かれなかった高齢動物におけるいわゆる老人病が発見されるケースが増えています。
 皆様が飼育されている動物達のより良い老後と、長生きのために、以下の点に注意して観察してみてはいかがでしょうか。
1. 歯周病・歯石 口をあけて口臭がきつくありませんか?
歯になにか歯石や歯垢がついていませんか?
2. 心臓病 夏の暑さに弱くありませんか?
(舌をだして呼吸をする、呼吸の回数が増える等)
運動することをいやがることは有りませんか?
セキをすることはありませんか?
3. 腎臓病 尿の色や臭いに変化はありませんか?
排尿の回数や量に変化はありませんか?
水を飲む回数や量に変化はありませんか?
4. 白内障 瞳の中を良く見てください、くもっているような気がしませんか?
5. 骨・関節疾患
(脊椎)
運動を嫌がりませんか?
抱き上げると鳴いたりしませんか?
超小型犬(レッグパーセス、膝蓋骨脱臼症候群)・大型犬(股関節形成不全など)に多い。
老齢犬では脊椎疾患が多い。
6. 糖尿病 多飲・多食・多尿・痩せる
7. 肝臓病 食欲不振・痩せる・尿が黄色くなる・便の色が薄くなる
8. 内分泌の病気 卵巣、精巣、副腎、甲状腺のホルモン異常でおこる病気で、症状は多種に及びます。
心配な方は、ぜひお電話ください。
いずれにしても、早くて8歳、遅くとも12歳から始まります。
9. 子宮内膜炎
子宮蓄膿症
不妊手術のしていない老齢動物に多いが、稀に若くても成り得る。
10. 乳腺腫瘍 メスの乳腺に出来る、硬いできもの。猫は悪性が多いので、早急な手当てが必要。
 病気の多発する年齢(幼若期、中年期、老年期)は人と同じです。
 これらの時期には必ず動物病院でチェックを受けてください。必ずしも高額な検査でなければ発見できないとは限りません。私たちの一般身体検査で、多くは発見することができます。
 検査はむしろ、それを裏付け、納得して頂く為に行うことが多いのです。 私たち獣医師も、関係各企業も、大学も、研究機関も、皆様の動物たちの為に精一杯努力して参ります。
御安心ください。