後藤直彰・著

■発行/2006年7月
■体裁/A-4判
  128ページ(オールカラー)
  図版39点
  塗抹標本・病理組織写真376枚
■価格/12,343円(税込・送共)
我が国における 細胞診の創始者であり 普及の第一人者として広く知られる著者が 「小動物臨床 塗抹標本による細胞診入門」についで発刊する実践書。
改訂版ではありません。

本書の内容
犬猫に発生する疾患、腫瘍で多く出現する細胞の見方を解説したもの。
初心者に解りやすい総論編と臨床現場で直ぐ役に立つ、豊富な塗抹標本を基にした細胞の見方の解説がなされている各論編、さらに臨床20例について臨床症状、細胞診所見、診断、コメントが付けられている。

塗抹標本による細胞診の心得と優れた点
  • 細胞診にあたっては、適応範囲・応用力の広い、多くの症例に共通の事柄について考え、基本事項を再認識し、さらに発展させるべき基盤をしっかりさせることから始める。
  • 塗抹標本を用いて細胞診を行う目的は、ほとんどの場合、非腫瘍と腫瘍の鑑別にある。犬や猫、その他の動物の腫瘤状の新生物を発見して細胞診の適用を思い立った段階で、既に「何か腫瘍であるかもしれない」と考えられているに違いないのである。
  • 細胞診は、組織標本による診断と異なり手掛かりとなるべき事実が少ないので、先入観を排して標本に現れた事実をもとに客観的な判断を下す。
  • 細胞診の診断に当たっては、臨床症状と細胞診の診断とに矛盾がないかどうかを常に意識する 。
  • 細胞診は、病変部から直接に採取した細胞、その他を見てそれがどのような意味があるかを考える診断法である。細胞診が、病理組織学よりも解りやすい場合も少なくない。
開業獣医師からの推薦の言葉
 細胞診の本も数多く出版されているが、日本の獣医師が親しんできた標本の作り方で、顕微鏡の側に置く本としては最適なものではなかろうか。ペットの高齢化が進み腫瘍が急増し、その多くが皮膚でバイオプシーが容易なことを考えると、切除前の診断のみならず、切除後の細胞診で迅速で的確なアドヴァイスが求められる時代になっていると思われる。
  標本作成から入りたい人、基本的な細胞の変化を知りたい人、診断を下したい人、それぞれの要求に応じた細やかさなど欧米の専門書にはない特徴を持っている。長年、日本の獣医師を相手に診断をしてきた筆者ならではの好著と思われる。
(東京都開業・KM獣医師)

著者からのメッセージ

 今日細胞診は多く用いられるようになり、経験・知識の蓄積もされてきている。また現在は、飼育されている小動物の品種、発生する病気・新生物も大部異なってきている。当然、細胞診の対象となる病変も異なり、それまで無かったあるいは変化したものも少なくない。
 本書はそれらの諸情勢を勘案し、何よりも実用を主目的に、まったく新たに執筆したものである。基本的な事はもとより、普段あまり取り上げられないような事柄まで、記載している。
 細胞診は難しくて苦手だと思っている臨床家諸子に、易しく、良く解り、実際の臨床の場で役に立つことを願っている。(序文より抜粋)

農学博士
前: 東京大学農学部獣医学科
獣医病理学教室教授
動物細胞病理研究会代表 
内容見本

 
序文

◎総論
1.はじめに
2.塗抹標本による細胞診の有効性とその適用
   診断名の問題
3.塗抹標本の作製
  材料の採取と塗抹
   (1)吸引採取の対象となる組織
    A.発生した固形新生物からの材料採取
    B.胸水、腹水、嚢胞液、尿からの
    材料の調整と塗抹
   (2)切除組織片からの直接塗抹
   (3)綿棒等で採取した細胞・粘液等の塗抹
  全体を通しての留意点
4.染色
  A.ギムザ染色
  B.ディフ・クイック染色
  C.ライト・ギムザ染色
5.標本をどう見るか 
  A.何を見るか
  B.非腫瘍と腫瘍の鑑別
  C.炎症性変化と変性病変
   炎症
    マクロファージ
    中皮細胞
    線維(芽)細胞
    細網線維
   変性病変(壊死組織を含む)
  D.腫瘍性変化
   良性腫瘍
   悪性腫瘍
   異型性
   細胞の核について(核小体を含む)
   核分裂像
   細胞質

◎各論
1.胸水、腹水           
  胸水、腹水の観察で注意すべき事項
  A.胸水
   循環障害性胸水
   乳糜胸
   化膿性炎症
   リンパ節炎(胸腺炎も同じ)
   中皮腫 (中皮細胞過形成、良性・悪性)
   リンパ肉腫(胸水に出現する)
   胸腺腫
   肺癌
   転移癌
   その他
  B.腹水
   猫伝染性腹膜炎(FIP)
   各種腫瘍
2.リンパ系・血液・骨髄
  A.リンパ節
   リンパ節病変を見る際の注意事項
   リンパ節の非腫瘍性変化
    リンパ節の水腫(リンパ節活性化)
    リンパ節炎
    リンパ節の反応性腫脹
    リンパ節の腫瘍性変化
    リンパ肉腫(またはリンパ腫症)
     犬のリンパ肉腫
     猫のリンパ肉腫
  B.骨髄病変
   骨髄の非増殖性変化
    骨髄低形成(膠様髄を含む)
    骨髄炎
   骨髄繊維化 
    骨髄の増殖性変化
    真性多血症
    多発性骨髄腫(ミエローマ)
    リンパ肉腫(骨髄内増殖)
    骨髄性白血病
  C.細胞診で問題になる血液細胞
   大顆粒リンパ球性白血病
   単球性白血病
   肥満細胞性白血病
   猫リンパ球性白血病
3.鼻腔、口腔、唾液腺、肺の病変
  A.鼻腔病変
   鼻腔内に出現する細胞
   鼻炎
   鼻粘膜上皮過形成、乳頭腫
   鼻腺癌
  B.口腔病変
   口腔内細胞成分
   粘膜乳頭腫
   扁平上皮癌
   悪性メラノーマ
   線維腫、線維肉腫
  C.唾液腺の病変 
   唾液腺細胞、唾液腺嚢胞
   唾液腺過形成
   唾液腺硬化症
   唾液腺腫大と炎症
   唾液腺嚢胞
   唾液腺癌
  D.肺の病変
   肺炎
   肺癌
   転移性腫瘍
   大動脈小体腫瘍
4.皮膚病変
  A.嚢胞状病変
   毛包嚢胞 類表皮嚢胞
   毛包上皮腫
   毛母腫
   アポクリン嚢胞
   リンパ管嚢胞
   その他(嵌入嚢胞)

 

  B.皮膚炎
   急性皮膚炎 
   慢性皮膚炎
   肉芽腫性皮膚炎
   その他の皮膚炎
  C.比較的多発する増殖性変化
   表皮乳頭腫
   脂肪腫、浸潤性脂肪腫
   皮膚組織球腫
   肥満細胞腫 
   肛門周囲腺腫
   基底細胞腫
   皮脂腺腫、皮脂腺上皮腫
   扁平上皮癌
   悪性メラノーマ
  D.皮膚の増殖性病変
   血管周皮腫
   線維肉腫
   粘液肉腫
   脂肪肉腫
   血管肉腫
   平滑筋肉腫
   横紋筋肉腫
   巨細胞肉腫
   円形細胞肉腫
5.乳腺病変
  A.乳汁の細胞
  B.乳腺炎 
  C.乳腺拡張症
  D.乳腺腫瘍
   乳腺癌
   乳腺の良性混合腫瘍
   乳腺の悪性混合腫瘍
  E.乳腺部のその他の腫瘍
   軟骨肉腫
   骨肉腫
   線維肉腫
   扁平上皮癌
6.肝臓病変
  A.肝臓
   肝細胞
   脂肪肝、類脂質症(リピドーシス)
   肝線維症、肝硬変
   肝アミロイド症
   肝の結節性肥大
   肝細胞癌
  B.胆管系
   胆管腫
   胆管癌
7.膀胱・前立腺病変
  A.膀胱
   膀胱の細胞
   膀胱炎
   膀胱粘膜の扁平上皮化生
   膀胱乳頭腫
   膀胱癌
  B.前立腺
   前立腺
   前立腺過形成
   前立腺癌 
8.軟骨、骨病変
  A.軟骨腫瘍
   軟骨腫
   軟骨肉腫
  B.骨腫瘍
   骨過形成
   骨肉腫
  C.滑膜細胞
   滑膜の病変
9.甲状腺・鰓嚢・副腎の腫瘍
  A.甲状腺腫瘍
  B.鰓嚢由来腫瘍
  C.副腎腫瘍
10.病原体など
  寄生虫
   ミクロフィラリア
  原虫 
   トキソプラズマ
  細菌類
   一般細菌、ヘリコバスターSP.
  真菌 
   クリプトコッカス
  ウイルス 
   犬ジステンパー、犬伝染性肝炎
11.臨床例
  1.肝線維症または肝硬変
  2.骨肉腫
  3.血管肉腫
  4.中皮腫
  5.基底細胞腫
  6.肥満細胞腫(1)
  7.肉芽腫性炎症
  8.猫の乳腺癌
  9.悪性皮膚組織球症
  10.軟部組織の骨肉腫
  11.肥満細胞腫(2)
  12.皮脂腺腫
  13.膀胱癌(1)
  14.膀胱癌(2)
  15.乳腺腫(1)
  16.乳腺の良性混合腫瘍
  17.猫リンパ肉腫
  18.乳腺腫(2)
  19.血管周皮腫
  20.前立腺癌  



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